2011年09月18日 20:44
溯る事先週のお話。
(今日はうんちくが長いので、めんどうな場合は読みとばして中段から読んで下さいませ~)
稲刈で忙しいさなか、同時進行で冬~来春野菜の準備をしておりました。
それは、去年挑戦してそこそこ上手く行った冬菜の仕込みであります。
とう菜ってのは新潟で食べられている春の葉野菜でして、
秋に種をまいてそこそこ大きく育て、そのご冬の寒さ(雪)に当てることで甘さを増し、
翌春の雪解けに合わせて伸びてくる新葉を収穫します。
(寒さに当てたあと、ハウスに移植したりトンネルを掛けて早く新葉を出させる栽培もあります)
でもって、このとう菜は夏ネギを収穫して空いた畑に種を播く予定だったのですが、
今年ネギの生育が遅れてしまっている関係で畑のスペースがなかったのです。
そこで目を付けたのが、稲刈を終えたばかりの田んぼ。
かなり無理くりですが、来週からは雨が続く予報があり(土が濡れると耕せなくなる)、
さらにとう菜は9月20日頃が播種限界(種まきが遅いと冬までに大きくなれない)ってこともあり
背に腹は代えられず「2011年、冬菜の種まき開始」とあいなりました。
しかしですね、稲刈後の田んぼを急遽畑として使うには
憂慮すべき点が2つほどあります。 「PH(土壌酸性度)」と「大量の有機物」です。
PHについてですが、田んぼは酸性の性質を持っています。
(というか、雨の多い日本の土壌は基本酸性です。
雨水は大気中の二酸化炭素を吸収しているから酸性なのです。)
PHでいうと田んぼの土は4.5~5.5位。
この数値は稲にとってはとても居心地のよい値なので田んぼとしては問題ナッシング。
でも、多くの野菜はPH6.5位を好むので土のPHを調整してやる必要があります。
主に石灰(アルカリ性質)を土に混ぜることで土壌のPHを調整するのですが、
PHを「1」上げるだけでも物凄い量の石灰が必要になります。
土質にもよりますが、私の場合このPH調整の為に
10aにつき苦土石灰を200キロほど撒きます。 ・・・超大変。
更に、憂慮すべきもう一点の「大量の有機物」についてですが、
稲刈り後の田んぼには、ワラや稲株などの大量の有機物が存在します。
これをそのままトラクターで耕して野菜を作ろうとすると、
野菜が成長するのに必要な養分が足りなくなってしまうのです。
それは、有機物が分解される過程で「窒素」を必要とするからです。
大量の有機物を土に含ませるとそれを分解する為に大量の窒素を持っていかれて
野菜の栄養が足りなくなってしまう訳です。 (これを窒素飢餓と言います)
そうならない様に、予め肥料(窒素)を大目に施してやる必要があります。
とう菜も冬までに大きく体を作らねばならない為に初期に多くの肥料を必要とする野菜なので、
プラスアルファで稲ワラ分解用の窒素肥料も考えますと、
10アールあたり150キロほどの肥料を畑に撒く必要があります。 ・・・超大変。
以上の理由から、PHと有機物のことを考えると大量の資材投入が必要になります。
しかも今年、調子ぶっこいて冬菜の作付けを30aの田んぼで行う事に致しました。
つまり、石灰200キロ+肥料150キロ×3(30a) = 1トンちょいの散布量。
ウチはブロードキャスター(肥料散布などに使うトラクターアタッチメント)なんて便利なものが無い為、
肥料・石灰散布は基本背負いのサンバー(リュックサックみたいな奴)で行っております。
炎天下(先週は連日34度位)の中、1トンの資材を背負いで撒き切る・・・・ぶふぇっ!!
考えただけでポカリが飲みたくなる! これは流石にやってられんですわ!
つーことでですね。
(ここからやっと本題です。)
「なんとか楽に資材を散布出来ないか」と考えた末に閃いたのがこちらです。

コンバインカーに背負いの動力散布機を縛り付けた、即席の肥料散布機であります!
作業時はこの様なフォーメーションとなります。

運転者1名、散布者1名。
コンバインはアクセルを固定できるため、1人で散布しながら機体を走らせることも出来ますが、
やはり安全の為に2人で作業するのが好ましいです。
※ちなみに、運転者は農繁期の間石井農園に助っ人に来てくれているKさん。
ぶっちゃけ、「なんてショボイ散布機なんだ!」と、思った方もいるでしょう。
私自身、そう思っておりますとも。
でもね、実際に使ってみたら背負い散布の10倍くらい楽!
しかも、作業も背負いの5倍は早く終わります!
・資材を積みながらの移動、機体に固定しての使用だから補給がスムーズ。
・動力散布機の力で一度に10メートル幅くらいで肥料を均一に撒ける。
・トラクター(ホイール)ほど地面を傷めないし、軽トラよりも安定して走れる。
・なんたって背負わなくていいから足腰が超楽!
ってな具合です。
一応、作業の様子も動画に撮ってみました。
来年以降、畑の資材散布にはこの方法でやっていこうと思います。
コンバインカーの利用方法はまだまだ色々模索出来そうです。
今後も何か閃いたらブログで紹介して行きたいと思います。
とう菜の種まき作業については、追ってご紹介いたします!
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是非石井農園の新米をご賞味下さいませ。ご注文はホームページにて。
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何卒、宜しくお願い致します。
PS
完全にうっかりしておりましたが、私本日、レベル28となりました。
立派なアラサーであります!
一人前の農家を目指して、また1年気を引き締めて頑張りたいと思います。
(今日はうんちくが長いので、めんどうな場合は読みとばして中段から読んで下さいませ~)
稲刈で忙しいさなか、同時進行で冬~来春野菜の準備をしておりました。
それは、去年挑戦してそこそこ上手く行った冬菜の仕込みであります。
とう菜ってのは新潟で食べられている春の葉野菜でして、
秋に種をまいてそこそこ大きく育て、そのご冬の寒さ(雪)に当てることで甘さを増し、
翌春の雪解けに合わせて伸びてくる新葉を収穫します。
(寒さに当てたあと、ハウスに移植したりトンネルを掛けて早く新葉を出させる栽培もあります)
でもって、このとう菜は夏ネギを収穫して空いた畑に種を播く予定だったのですが、
今年ネギの生育が遅れてしまっている関係で畑のスペースがなかったのです。
そこで目を付けたのが、稲刈を終えたばかりの田んぼ。
かなり無理くりですが、来週からは雨が続く予報があり(土が濡れると耕せなくなる)、
さらにとう菜は9月20日頃が播種限界(種まきが遅いと冬までに大きくなれない)ってこともあり
背に腹は代えられず「2011年、冬菜の種まき開始」とあいなりました。
しかしですね、稲刈後の田んぼを急遽畑として使うには
憂慮すべき点が2つほどあります。 「PH(土壌酸性度)」と「大量の有機物」です。
PHについてですが、田んぼは酸性の性質を持っています。
(というか、雨の多い日本の土壌は基本酸性です。
雨水は大気中の二酸化炭素を吸収しているから酸性なのです。)
PHでいうと田んぼの土は4.5~5.5位。
この数値は稲にとってはとても居心地のよい値なので田んぼとしては問題ナッシング。
でも、多くの野菜はPH6.5位を好むので土のPHを調整してやる必要があります。
主に石灰(アルカリ性質)を土に混ぜることで土壌のPHを調整するのですが、
PHを「1」上げるだけでも物凄い量の石灰が必要になります。
土質にもよりますが、私の場合このPH調整の為に
10aにつき苦土石灰を200キロほど撒きます。 ・・・超大変。
更に、憂慮すべきもう一点の「大量の有機物」についてですが、
稲刈り後の田んぼには、ワラや稲株などの大量の有機物が存在します。
これをそのままトラクターで耕して野菜を作ろうとすると、
野菜が成長するのに必要な養分が足りなくなってしまうのです。
それは、有機物が分解される過程で「窒素」を必要とするからです。
大量の有機物を土に含ませるとそれを分解する為に大量の窒素を持っていかれて
野菜の栄養が足りなくなってしまう訳です。 (これを窒素飢餓と言います)
そうならない様に、予め肥料(窒素)を大目に施してやる必要があります。
とう菜も冬までに大きく体を作らねばならない為に初期に多くの肥料を必要とする野菜なので、
プラスアルファで稲ワラ分解用の窒素肥料も考えますと、
10アールあたり150キロほどの肥料を畑に撒く必要があります。 ・・・超大変。
以上の理由から、PHと有機物のことを考えると大量の資材投入が必要になります。
しかも今年、調子ぶっこいて冬菜の作付けを30aの田んぼで行う事に致しました。
つまり、石灰200キロ+肥料150キロ×3(30a) = 1トンちょいの散布量。
ウチはブロードキャスター(肥料散布などに使うトラクターアタッチメント)なんて便利なものが無い為、
肥料・石灰散布は基本背負いのサンバー(リュックサックみたいな奴)で行っております。
炎天下(先週は連日34度位)の中、1トンの資材を背負いで撒き切る・・・・ぶふぇっ!!
考えただけでポカリが飲みたくなる! これは流石にやってられんですわ!
つーことでですね。
(ここからやっと本題です。)
「なんとか楽に資材を散布出来ないか」と考えた末に閃いたのがこちらです。

コンバインカーに背負いの動力散布機を縛り付けた、即席の肥料散布機であります!
作業時はこの様なフォーメーションとなります。

運転者1名、散布者1名。
コンバインはアクセルを固定できるため、1人で散布しながら機体を走らせることも出来ますが、
やはり安全の為に2人で作業するのが好ましいです。
※ちなみに、運転者は農繁期の間石井農園に助っ人に来てくれているKさん。
ぶっちゃけ、「なんてショボイ散布機なんだ!」と、思った方もいるでしょう。
私自身、そう思っておりますとも。
でもね、実際に使ってみたら背負い散布の10倍くらい楽!
しかも、作業も背負いの5倍は早く終わります!
・資材を積みながらの移動、機体に固定しての使用だから補給がスムーズ。
・動力散布機の力で一度に10メートル幅くらいで肥料を均一に撒ける。
・トラクター(ホイール)ほど地面を傷めないし、軽トラよりも安定して走れる。
・なんたって背負わなくていいから足腰が超楽!
ってな具合です。
一応、作業の様子も動画に撮ってみました。
来年以降、畑の資材散布にはこの方法でやっていこうと思います。
コンバインカーの利用方法はまだまだ色々模索出来そうです。
今後も何か閃いたらブログで紹介して行きたいと思います。
とう菜の種まき作業については、追ってご紹介いたします!
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是非石井農園の新米をご賞味下さいませ。ご注文はホームページにて。
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何卒、宜しくお願い致します。
PS
完全にうっかりしておりましたが、私本日、レベル28となりました。
立派なアラサーであります!
一人前の農家を目指して、また1年気を引き締めて頑張りたいと思います。
コメント
tonpu | URL | -
Re: コンバインカーで石灰・肥料撒き。
大胆な肥料散布方法ですね(^^;)
自分も今年はとう菜に挑戦してみようと思ってます
場所は枝豆を作付してたところなんだけど
豆類は空気中の窒素を肥料として取りこむから
後作の物は窒素不要?らしいんで
( 2011年09月18日 21:56 [編集] )
marukome | URL | -
Re: コンバインカーで石灰・肥料撒き。
コンバインカーいいですねー
黒埼では田植え機を改造して枝豆の運搬に使用している人はいますがコンバインの改造はみたことありませんでした
キャタピラなので安定していていいですね
参考にさせてもらいます
( 2011年09月19日 01:38 [編集] )
名前記入なし | URL | -
散布の辛さはよ~くわかります あんなん担いで1tも撒いてたら、田んぼの中で、屍になっちゃいます。
コンバインカー、ほんと便利。一番のメリットは安定走行性ではないでしょうか?コンバインほど、田んぼをラクに走れる機械はありませんしね。
ブロードキャスターあれば、1回に150kgは散布できるので、作業的にはラクなんでしょうが、散布にムラができてしまう事があります。逆に動力散布機で散布した方が、隅々まで散布されて、効果が出やすいかもしれませんね。
このコンバインカー、やっぱイイっすよ。農家の家に1台欲しい代物です。
( 2011年09月19日 02:16 [編集] )
浜本 | URL | -
Re: コンバインカーで石灰・肥料撒き。
石井さんこんにちは、色々と考えますねぇ~こりゃ面白い(失礼)動画も最後はカメラの前に石井さんの顔がアップしてくるのかと期待大でした…(大変失礼)。そのうち何かで特許取得されるんじゃないかとこちらも期待大です、その時にはブログコメントのみなさんのみに無料使用許可して下さいね(笑)
( 2011年09月19日 09:06 [編集] )
兼業農家の長男 | URL | -
Re: コンバインカーで石灰・肥料撒き。
コンバインカーでの肥料散布、特許級の閃きモノですね(動力散布機を固定できる部品でも特許取られてはどうでしょう)。
肥料袋をコンバインカーの運搬部分に載せるので、ジャックナイフもほとんど無さそうなので、安全性も高そうですね。
写真を拝見して一つ思ったんですが、肥料散布時に折り畳みの小さいパイプ椅子に腰を掛けられてはどうでしょう。足腰の負担がさらに少なくなると思います。
( 2011年09月20日 22:06 [編集] )
石井 | URL | lFH9V1S2
コメントありがとうございます。
【tonpuさんへ】
コメントありがとうございます。
確かに枝豆と作付け後は土が肥えると言いますよね。
緑肥でもマメ科は土をよく肥やすと言いますし。
上手く行けば肥料代の節約にもなりますね(^-^)
【marukomeさんへ】
コメントありがとうございます。
田植え機の改造車、コンバインの改造車
それぞれにメリットがありますよね。
田植え機であれば溝切り機や
畝をまたいで走る防除機などにも改良出来そうです。
今後も色んな作業機を試してみたいですね(^-^)
【ーさんへ】
コメントありがとうございます。
サンバーでの背負い散布は本当にシンドイですよね。汗
コンバインカーは本当に安定して走ります。
やはり接地面の広いクローラーは良いですね。
刈取部の壊れた中古コンバインなどは超格安なので
リーズナブルに購入できる機械ですよ(^-^)
【浜本さんへ】
コメントありがとうございます。
顔のアップは思いつきませんでした。
今度一言コメントと合わせて撮ってみます。笑
しょぼしょぼのアイデアばかりなので、
特許なんて恐れ多いです!汗
使えそうなアイデアであれば
是非利用して頂けたら幸いです(^-^)
【兼業農家の長男さんへ】
コメントありがとうございます。
動力散布機の固定パーツはいいですね!
軽トラや整地キャリアでの固定パーツも売れそうです。
折りたたみ椅子はちょっと荷台が狭くて
使い辛いかもですが、3条刈のコンバインカーなら
余裕をもってイスも設置出来そうです。
(私のコンバインカーは2条刈なのです^_^;)
( 2011年09月21日 00:38 [編集] )
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